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丸暗記からの脱出!【第4回 有機化学 ヨードホルム反応】

こんにちは、化学マスターです。

 

今回は、有機化学の反応式の中でも皆さんを悩ませているであろうヨードホルム反応の反応式について、解説していきたいともいます。

 

ヨードホルム反応を示す物質の例としては、アセトアルデヒドなどが挙げられます。アセトアルデヒドに対して、ヨウ素水酸化ナトリウムを加えて温めると化学反応がおこり、その反応式は次のようになります。

 

CH3CHO+3I2+4NaOH

     →CHI3+HCOONa+3NaI+3H2O

 

※反応は、水酸化ナトリウム存在下の塩基性条件下で行っていることを押さえておきましょう!

まったく覚える気になりませんね!

 

 

実は、この反応式も、第1回~第3回で紹介した反応式と同様、多段階で進行する反応式で、その行程を理解すれば簡単に書けるやようになります!物質が変わっても応用がききます!それでは内容に行ってみましょう!

 

まず結論からですが、行程は

①置換→②中和→③脱離

の3段階で考えていくと分かりやすいです。

 

※ただし、ここでの説明は、大学で学ぶ反応機構の内容には触れず、高校レベルの化学で理解できるように簡略化しています。

 

では①置換についてみていきましょう!

①では、ヨウ素によるメチル基の水素との置換反応がおこります。

 

CH3CHO + 3I2 → CI3CHO + 3HI・・・①

 

この反応によって、ヨードホルムCHI3になる部位が生じると考えてください。また、同時にヨウ化水素という強酸が生じています。

 

 

続いて②中和の行程です。

はじめに確認しましたが、この反応はNaOH存在下の塩基性溶液中で行われています。そのため、②では①で生じたヨウ化水素が、水酸化ナトリウムによって中和される変化を反応式で表します。

 

3HI + 3NaOH → 3NaI + 3H2O・・・②

 

最後に③脱離の行程です。

これは、①で生じたヨウ素で置換された物質からヨードホルムが脱離するという反応式です。この時に、水酸化ナトリウムがさらにもう一つ加えられることも押さえておきましょう!

 

CI3CHO + NaOH → HCOONa + CHI3・・・③

 

ヨードホルムが脱離すると、元のアルデヒドから炭素数が1減少します。そして、アルデヒドの酸化が進行しているため、カルボン酸が生じます。ただし、これらは全て塩基性中で実験を行っているため、カルボン酸はナトリウム塩として発生してきます。

 

最後に、この①~③の反応式を足し合わせると、青い文字が消されて次のようになります。

 

    CH3CHO + 3I2 → CI3CHO + 3HI・・①

   3HI + 3NaOH → 3NaI + 3H2O・・②

CI3CHO + NaOH → HCOONa + CHI3・・③

                                       

CH3CHO + 3I2 + 4NaOH

    → HCOONa + 3NaI + 3H2O + CHI3

 

これで完成です!

 

 

 

では、ヨードホルム反応をする他の物質として、アルコール類のエタノールについて考えていきたいと思います。エタノールのヨードホルム反応の式は次の通りです。

 

CH3CH2OH+4I2+6NaOH

     →CHI3+HCOONa+5NaI+5H2O

 

係数が変わり、特に共通点がないように見えます。しかし、実はアセトアルデヒドの場合の導出過程にひと手間加えるだけで、この反応式を導くことができます。

 

その行程は

⓪酸化→①置換

            →②中和→③脱離

の4段階になります。

 

では、新しく加わった⓪酸化から見ていきましょう!

⓪酸化では、酸化力のあるハロゲンの単体のヨウ素を用いることで、エタノールアセトアルデヒドに酸化します。

 

CH3CH2OH + I2 → CH3CHO + 2HI・・・⓪

 

この反応によってアセトアルデヒドができるため、以降の行程はアセトアルデヒドの場合と同じになります。ただし、⓪酸化の行程でヨウ化水素が生じている分②中和で必要な水酸化ナトリウムの量が増加していることに注意してください!

 

そして、⓪~③の反応式を足し合わせると、次のようになります。

 

CH3CH2OH + I2 → CH3CHO + 2HI・・・⓪

   CH3CHO + 3I2 → CI3CHO + 3HI・・・①

 5HI + 5NaOH → 5NaI + 5H2O・・・②

CI3CHO + NaOH → HCOONa + CHI3・・・③

                    

CH3CHO + 4I2 + 6NaOH

    → CHI3 + HCOONa + 5NaI + 5H2O 

 

これで完成です!

 

ヨードホルム反応は、複雑で非常に難しい反応式の一つですが、このアルデヒドからとアルコールからの2パターンの行程から導出してくれば、非常に楽になります!

 

では最後に問題です。

 

 

<問題>

次の化学反応式を答えよ。

(1)アセトンCH3COCH3のヨードホルム反応

(2)2-プロパノールCH3CH(OH)CH3のヨードホルム反応

(考えた後、下で答えを確認しましょう!)

(1)

    CH3COCH3 + 3I2 → CI3COCH3 + 3HI・・・①

       3HI + 3NaOH → 3NaI + 3H2O・・・②

CI3COCH3 + NaOH → CH3COONa + CHI3・・・③

                     

CH3COCH3 + 3I2 + 4NaOH

  → CH3COONa + 3NaI + 3H2O + CHI3

 

 

(2)

CH3CH(OH)CH3 + I2 → CH3COCH3 + 2HI・・・⓪

   CH3COCH3 + 3I2 → CI3COCH3 + 3HI・・・①

       5HI + 5NaOH → 5NaI + 5H2O・・・②

CI3COCH3 + NaOH → CH3COONa + CHI3・・・③

                     

CH3CH(OH)CH3 + 4I2 + 6NaOH

  → CHI3 + CH3COONa + 5NaI + 5H2O 

 

どうですか?

導出できましたか?

 

今回の内容は以上です!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

この記事を通して、みなさんの受験化学の『丸暗記からの脱出!』が少しでも進めば嬉しいです。

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