窒素・リン(15族元素)とその化合物総まとめ
オストワルト法の計算テクニックから同素体の対比まで完全網羅!
こんにちは!今回は無機化学の非金属分野の中でも、入試や模試で非常に差がつきやすい「15族元素(窒素・リンとその化合物)」の重要ポイントを総整理します。オストワルト法・ハーバー・ボッシュ法などの工業的製法から、黄リン/赤リンの対比、過リン酸石灰の生成まで、しっかり理由とセットでマスターしていきましょう!
1. 窒素 (N₂)
空気中に最も多く存在する気体で、非常に安定な性質を持ちます。
- 存在と工業的製法: 空気中に体積比で約8割存在。工業的には液体空気の分留によって得られます。
- 物理的性質: 無色・無臭の気体。水に難溶。
- 化学的性質: 常温で**非常に不活性(反応しにくい)**。分子内に強固な三重結合(N≡N)を持つためです。
- 実験室的製法: 亜硝酸アンモニウム(NH₄NO₂)の熱分解。
NH₄NO₂ ⟶ N₂↑ + 2H₂O
2. アンモニア (NH₃)
水によく溶けるアルカリ性の気体です。分子間で水素結合を形成する点が大きな特徴です。
- 物理的性質: 無色・刺激臭の気体。水によく溶け弱塩基性。分子間に**水素結合**を作るため高沸点であり、加圧すると容易に液化します。
- 検出反応:
① 湿らせた**赤色リトマス紙を青変**させる。
② 濃塩酸を近づけると**白煙(塩化アンモニウム NH₄Cl の微粒子)**を生じる。NH₃ + HCl ⟶ NH₄Cl
【製法】実験室的製法とハーバー・ボッシュ法
① 実験室的製法:弱塩基の遊離反応
塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混ぜて加熱します。
② 工業的製法:ハーバー・ボッシュ法
四酸化三鉄(Fe₃O₄)を触媒とし、「空気からパンを作った」と称される歴史的大発明です。
3. 窒素酸化物(NO と NO₂ の対比)
| 項目 | 一酸化窒素 NO | 二酸化窒素 NO₂ |
|---|---|---|
| 色・臭い | 無色・無臭 | 赤褐色・刺激臭(有毒) |
| 水への溶解性 | 難溶(水上置換で捕集) | によく溶ける(強酸性) |
| 生成反応(銅+硝酸) | 銅 + 希硝酸 | 銅 + 濃硝酸 |
【重要反応式】銅と硝酸の反応
① 銅と「希硝酸」 ➔ NO が発生
② 銅と「濃硝酸」 ➔ NO₂ が発生
4. 硝酸 (HNO₃) とオストワルト法
硝酸は無色で揮発性のある強酸です。光や熱で分解するため**褐色瓶に保存**します。
【工業的製法】オストワルト法
Ⅰ. アンモニアの空気酸化(触媒:白金 Pt)
4NH₃ + 5O₂ ⟶ 4NO + 6H₂O
Ⅱ. NO の自動酸化
2NO + O₂ ⟶ 2NO₂
Ⅲ. NO₂ を温水に吸収
3NO₂ + H₂O ⟶ 2HNO₃ + NO
3つの式を合体させた**全体式**を絶対に暗記しておきましょう!
「アンモニア 1 mol から硝酸 1 mol ができる(1:1)」という量的関係が一目瞭然になり、計算問題を瞬殺できます!
【実験室的製法】硝酸ナトリウム + 濃硫酸(揮発性の酸の遊離)
5. リン (P) とその同素体
自然界ではリン酸塩(リン鉱石)として存在します。
| 項目 | 黄リン P₄ | 赤リン Pₓ |
|---|---|---|
| 色・状態 | 淡黄色のろう状固体 | 暗赤色の粉末 |
| 反応性・保存 | 自然発火する(水中に保存!) | 自然発火しない |
| 毒性 | 猛毒あり | 毒性なし |
| 構造・用途 | P₄ 正四面体分子(殺鼠剤) | Pₓ 巨大分子(マッチ着火剤・N型半導体) |
【参考】リン単体の工業的製法
Ⅱ. CaO + SiO₂ ⟶ CaSiO₃
Ⅲ. P₄O₁₀ + 10C ⟶ P₄ + 10CO
全体: 2Ca₃(PO₄)₂ + 6SiO₂ + 10C ⟶ 6CaSiO₃ + P₄ + 10CO
6. 十酸化四リン (P₄O₁₀) と リン酸 (H₃PO₄)
① 十酸化四リン P₄O₁₀
- 強力な**吸湿性・脱水性**を持ち、乾燥剤として使用されます。
- リンの燃焼: 4P + 5O₂ ⟶ P₄O₁₀
- 温水と反応してリン酸を生成: P₄O₁₀ + 6H₂O ⟶ 4H₃PO₄
② リン酸 H₃PO₄(3価の弱酸)と多段階電離
H₂PO₄⁻ ⇄ HPO₄²⁻ + H⁺
HPO₄²⁻ ⇄ PO₄³⁻ + H⁺
③ リン酸肥料:過リン酸石灰の生成
難溶性のリン酸カルシウムに濃硫酸を反応させ、水に可溶な形に改質します。
※生じた **CaSO₄** と **Ca(H₂PO₄)₂** の混合物を**過リン酸石灰**と呼びます。(Ca(H₂PO₄)₂ が水溶性のため肥料として有効)
黄リンは水中保存!過リン酸石灰は CaSO₄ + Ca(H₂PO₄)₂!
15族元素の知識を整理して、丸暗記から脱出しましょう!
今回の内容は以上です!最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事を通して、皆さんの受験化学の『丸暗記からの脱出!』が少しでも進めば嬉しいです。
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