入試問題研究②【難問酸化還元反応式】
こんにちは、化学マスターです。
今回は,難問の酸化還元反応式を紹介したいと思います。通常の問題集では扱われていないものもあるので,ぜひ確認しておいてください。
それでは早速見てみましょう!
【難問酸化還元反応式】
問1 アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素の単体は,常温の水と反応する。リチウムと水との反応式を答えよ。
<答え>
2Li + 2H2O → 2LiOH + H2
問2 亜鉛や鉄は常温の水と反応しないが,高温の水蒸気と反応して酸化物を生成する。ただし,亜鉛の反応で生成する酸化物は,n水和物とし,鉄は酸化物のみが生成するものとし,化学反応式を答えよ。
<答え>
Zn + (n+1)H2O → ZnO・nH2O + H2
3Fe + 4H2O → Fe3O4 + 4H2
問3 銅や銀は,水とは反応せず,塩酸や希硫酸ともほとんど反応しないとされる。しかし,銅を希硫酸中に入れた溶液を空気中に放置すると,気体は発生せず,溶液が少しずつ青色を帯びるようになる。この変化の酸化還元反応式を答えよ。
銅は還元剤であり,半反応式は
Cu → Cu2+ + 2e-
酸化剤は空気中の酸素であり,気体が発生しなしことからO2→2H2Oの変化であることが分かり,酸性条件での半反応式は
O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O
Cu → Cu2+ + 2e- ×2
O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O ×1
________________
2Cu + O2 + 4H+ → 2Cu2+ + 2H2O
問4 銅や銀と希硝酸との反応では一酸化窒素が発生するが,銅や銀よりもイオン化傾向が大きい亜鉛と希硝酸を反応させると,亜鉛は還元性が大きいため,硝酸分子中の窒素原子の酸化数は大きく変化し,麻酔に用いられる気体である一酸化二窒素や硝酸アンモニウムなどが生成する。それぞれの変化の酸化還元反応式を答えよ。
<一酸化二窒素発生の場合>
Zn → Zn2+ + 2e- ×4
2HNO3 + 8H+ + 8e- → N2O + 5H2O ×1
____________________
4Zn + 2HNO3 + 8H+ → 4Zn2+ + N2O + 5H2O
⇓NO3-×8 追加
4Zn + 10HNO3 → 4Zn(NO3)2 + N2O + 5H2O
<硝酸アンモニウム発生の場合>
Zn → Zn2+ + 2e- ×4
HNO3 + 8H+ + 8e- → NH3 + 3H2O ×1
____________________
4Zn + HNO3 + 8H+ → 4Zn2+ + NH3 + 3H2O
⇓NO3-×8 , HNO3×1 追加
4Zn + 10HNO3 → 4Zn(NO3)2 + NH4NO3 + 3H2O
問5 金と王水の反応では2段階の反応を経て,金が溶解するが,この2段階の反応を1つにまとめた反応の反応式を記せ。ただし,生成物は,テトラクラリド金(Ⅲ)酸H[AuCl4],一酸化窒素,水とする。
HNO3 + 3H+ + 3e- → NO + 2H2O ×1
____________________
Au + HNO3 + 3H+ → Au3+ + NO + 2H2O
⇓Cl-×3 , HCl×1 追加
Au + HNO3 3HCl → H[AuCl4] + NO + 2H2O
どうだったでしょうか?
受験生の皆さんは,必ず半反応式から組み立てることにチャレンジしてください!!
今後も,化学の入試問題に関する情報をアップしていくので,よろしくお願いします!!