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丸暗記からの脱出!【第1回 無機化学 さらし粉の生成】

こんにちは、化学マスターです。

化学の勉強していると、化学反応式の丸暗記に苦労する場面がありませんか?

 

ここでは、受験生の皆さんが暗記に少し苦労するのではないかと思われる反応式について、効率の良い覚え方を紹介していきたいと思います。

 

今回は、さらし粉生成の反応式についてです!

 

 

<さらし粉の生成>

さらし粉の製法は、『石灰水に塩素を加える』で反応式は次の通りです。

Ca(OH)2 + Cl2 → CaCl(ClO)・H2O

 

覚えにくい・・・

 

実はこの反応式は、多段階で反応しているので難しく感じているのです。

では、この反応式の分解して考えてみましょう。

 

まず結論ですが、反応は

『①溶解→②中和』の順に進みます!

 

 

では、①溶解から見ていきましょう。

塩素は中学校の理科でも水に溶けやすい気体として習います。高校化学の視点から見ると、無極性分子なのになぜ??となりますよね。

この水によく溶ける性質は、化学反応によるものです。

反応式は次の通りです。

Cl2 + H2O ⇆ HCl + HClO・・・①

 

化学平衡の反応であることも押さえておきましょう!

 

石灰水に塩素を加えた場合、水酸化カルシウムと塩素が直接反応するわけではなく、まずこの反応によって、塩素は塩化水素と次亜塩素酸に変化します。この反応式は、電気分解で塩素が発生した場合、電極付近が酸性になることを説明する際にも使われます。この式については、最低限の暗記として覚えてしましましょう。

 

 

次に②中和についてです。

①の反応によって生じた塩化水素と次亜塩素酸は、石灰水中の水酸化カルシウムと即座に中和反応がおこります。

反応式は次の通りです。

Ca(OH)2 + HCl + HClO → CaCl(ClO) + 2H2O・・・②

 

※さらし粉が、塩化カルシウムと次亜塩素酸カルシウムの復塩であることも押さえておきましょう!

 

これら①・②の反応式を足し合わせると青い文字が消去されます。

このとき、残った水を水和水にするのを忘れないでください。

 

      Cl2 + H2OHCl + HClO    ・・・①

Ca(OH)2 + HCl + HClO → CaCl(ClO) + 2H2O・・・②

                     

   Ca(OH)2 + Cl2 → CaCl(ClO)・H2O

 

これで『さらし粉の生成反応』完成です!

 

余談になりますが、①の反応は化学平衡の反応ですが、生じた酸の中和が即座に行われるため、ルシャトリエの原理より、常に平衡は右へ移動することになり、全体の式では右向き矢印のみとなります。

 

さらし粉生成の反応式をかけるようになると、それを利用して、高度さらし粉生成の反応式も書けるようになります。

  ↓↓↓

 

<高度さらし粉の生成>

操作は同じです!ただし・・・

『塩素の量を倍にする!』

これだけです。

 

では具体的に見ていきましょう。

①溶解では、すべての係数を2倍にします。

2Cl2 + 2H2O ⇆ 2HCl + 2HClO・・・①×2

 

次に②中和です。

さらし粉では、塩化水素と次亜塩素酸の両方での中和を行いましたが、こちらでは、次亜塩素酸のみで、水酸化カルシウムを中和します。

Ca(OH)2 + 2HClO → Ca(ClO)2 + 2H2O・・・②

 

これら①・②の反応式を足し合わせると青い文字が消去されます。

  2Cl2 + 2H2O ⇆ 2HCl + 2HClO・・・①×2

Ca(OH)2 + 2HClO → Ca(ClO)2 + 2H2O・・・②

                   

  2Cl2 + Ca(OH)2Ca(ClO)2 + 2HCl

 

これで『高度さらし粉の生成反応』完成です!

 

 

結論としては、さらし粉、高度さらし粉の反応式の覚え方は、

『まず①の塩素の溶解の反応式を覚えること!』

これにつきます。

 

 

最後に、この発想を利用して、過去京大模試に出題された事例を紹介しておきます。

 

 

<問題>

水酸化ナトリウム水溶液に塩素を加えた時の化学反応式を答えよ。

<考えた後、下で答えを確認しましょう!>

 

      Cl2 + H2OHCl + HClO

   NaOH + HCl → NaCl + H2O

NaOH + HClO → NaClO + H2O

                                                         

2NaOH + Cl2 → NaCl + NaClO +H2O

 

解けましたか??

この反応式は、イオン交換膜法で水酸化ナトリウムを製造する際に、塩素と水酸化ナトリウムの極を膜で仕切らなければならない理由を説明するときにも利用できます。押さえておきましょう!

 

 

今回の内容は以上です!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

 

 

この記事を通して、みなさんの受験化学の『丸暗記からの脱出!』が少しでも進めば嬉しいです。

 

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